2017年第1回進路相談会② 今までの分を取り戻す覚悟は

先週の続きになります。

 

進路相談会で、私が「無理だからその志望校はやめなさい」と言わない、その理由とはーー。

 

これまでの経験では、流石に9月下旬から入試までに「偏差値を10上げて、地域でもトップクラスの高校に行きたい」という中3生はまずいません。

保護者の方から「先生、これは高望みですよね」と聞かれたり、本人が「無理かもしれないけど」というのは大抵偏差値でいえば5前後のアップが必要なケースがほとんどです。そういった意味では受験生も保護者の方も自分自身の状況の把握は適切に行われていると考えられます。

 

ただ問題になるのは、そういった受験生は「それまでの間、夏休みですら家庭学習や自主的な勉強をほとんどしていない」ということです。

必然的に中学1・2年生の復習には手を付けていません。また弱点になっている科目や分野も補強がされていません。これは秋の後半、具体的には11月以降の成績の落ち込みに直結します。そして自習学習をしていない生徒の成績の落ち込みの特徴は「底なしに落ちていく」ということです。

 

無理もないことです。そこから反撃しようにもそれまで勉強をしていないので「自主学習の仕方が分からない」「何を・どれだけ・いつまでにやればいいのか分からない」「最終的なゴールは入試だが、目安をどうするのか分らない」といういくつもの「分からない」が重なって、勉強ができずにいたずらに時が過ぎて、反撃の期間さえ設定できないまま入試日を向かえることになるのです。

 

そこで「これから今までの分を取り戻して、一生懸命に取り組むんだね。覚悟を決めたんだね」と念を押したうえで、入試までのシナリオ作りを一緒に行うことになります。まずは最終ターゲットの設定です。「君は3月頭の高校入試が最終目標だと思っているかもしれないが、実は1月末の最後の模擬試験までに成績を上げておく必要があるということに気付いているかい?」「その後には力試しをする機会がないんだ。あるのは入試本番のみなんだね」「だから、そこまでに安全圏とは言わないまでも合格圏で50%以上の可能性を出しておきたい」という話をして、最終ターゲットは1月末の模試とします。

 

次にそこまでの大雑把なスケジュールですが、これは逆算して考えていきます。「1月下旬に行われる併願の私立高校の入試は特に対策を立てなくていい」「それよりも塾の冬期講習では公立高校の過去問を徹底的に研究、学習するから、その流れで自主的に過去問に取り組んだ方が良い」「塾の自習室には過去10年以上の全国高校入試問題があるから、それを徹底的に利用してください」「ということは塾の授業がなくても毎日塾には来ることになるね」「そういえば冬期講習会は、毎日朝9時から午後1時くらいまでだから、一度家に戻ってお昼ご飯を食べて、中1・2年生が冬期講習を受けているときにも自習室で自主学習だね」

 

ここまでくると、冬期講習前の二学期の過ごし方の話になります。「とにかく中学1・2年の復習が終わっていないのだから、それを含めて中学3年生の1学期までの復習を二学期の期末試験前までに終わりにしておかないととても勝負にならない」「塾や中学校推奨の復習テキストはそこまでに1科目あたり平均20項目、合計100項目ある。これを1回一通りだけでなく二回復習しておきたい。延べで200項目の学習になる」「となると二学期期末試験まで7週間、約50日だから一日平均4項目の消化が必要になる」「ただしこれだけでは中間・期末テストのための勉強はできないから、1日5項目、つまり毎日英数国理社を1項目ずつ進める必要がある」「基本的に1項目の学習には1時間が必要だから、毎日5時間の学習になるね」

 

流石にここまでの話をすると「出来るかな」という不安な顔になったり、「嫌だな」とうんざりした顔になる人も出てきます。そこで「大変だね、こんなに勉強が必要だと思わなかった?」と質問します。

「はい」という答えが返ってきたところで「なぜ、こんなに勉強が必要なんだろう?」という質問をします。大抵の受験生は答えられないので「まあ、その高校に入りたい人が君だけじゃなくて他にもたくさんいるからだね」と話を続けます。

 

その上で「それにしても必要な勉強量が多いなあと思った? じゃあなんで君は今になってこんなに勉強が必要なんだろう?」と質問します。

「今まで勉強しなかったから」「いいところに気付いたね。で、いつから?」「夏休みから」「それならばそんなに変わらないと思うよ」「じゃあ4月に進級した時から」「違うなあ」「中学に入学してから」--と会話が続きます。

 

 

そこで私からの答えを告げます。

「君の苦手科目はーーだよね。で、解き方を見ていると小学校で学習する~~が弱いってわかるわけ。で、そのことは前にも指摘したけれども、なかなか修正できていないよね。つまり、君は気づいていなかったと思うが、小学校の時から勉強していなかったんだ」

 

「君は中学に入ってから二年半の怠けだと思っているみたいだが、実際には小学校の時からの八年半が積み重なっているわけだね。それを高校入試までの半年足らずで取り戻そうというのだから、さっき言ったような時間になるわけです」

 

「だから最初に聞いたように覚悟が必要なんだ。今までのような妥協はしないっていうね」

 

「そして最大の悩みは、そこまで自主学習しても最後の模試までに成績が上がる保証がないということ。ただしこの後は学習しないと絶対に成績は上がらない。ほかの人も成績を上げるために頑張っているからね。そんな状況では、自分を信じて頑張るか、もう駄目だと諦めるかです」

 

「もちろん諦めるのも一つの選択肢です。ただ、だからと言って今と同じように自主学習をほとんどしなければ、秋の後半から成績は下がります。これは私の経験上例外の無い事実です。そしてそこから成績をもとに戻すのは至難の業。最後の模試までは時間がないし、何もやってこなかったからどうすればいいのか分からないままに時間が過ぎるだけなので、現時点での成績の適正校から1ランクや、下手をすると2ランク下の高校にする人も多いのです」

 

「それに比べたら、状況は厳しいけれどもまだ可能性があるこの時期ならば、最後の模試まで全力を尽くせばいいんじゃないのかな。その結果が出るまでは第一希望の変更は考えなくていい。まずはその高校に入った時に困らないだけの学力を身に着けることが先決です。さあ頑張ろう!」

 

 

 

最後もう一度私からのコメントを再度告げて、相談会は終了です。

 

・ 楽観できない状況でも、可能性は0ではない。アウト・ラインは示したので、あとは妥協はしないという君の覚悟を見せてほしい。

 

・ 他の人も頑張っている中、成績を上げるのは難しい。ただ学習しないと成績は上がらない。しなければ奈落の底へ沈んでしまう。これは事実だ。

 

 

受験勉強が厳しいものだと感じるのは、これらのギリギリで勝負を考えている受験生でしょう。だからこそ、この機会を通して自分を律し大人への道を進み始めるのです。今年も中3生に幸あれと願うばかりです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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