埼玉県公立高校入試 国語の問題は難しくなっている 3

今年の埼玉県公立高校入試も倍率が発表になりました。このあと明日22日と明後日23日で志願先の変更が可能ですが、まあ、これでほぼ決まったと言えます。

 

大半の受験生に大切なのは「倍率」ではなく「合格するだけの学力を身に着けること」なのですが、どうしても気になる人はいると思います。ただ、それを気にしても合格する可能性が高くなるのではないので、まずは「あと一週間で何ができるか」を考えてそれを実行することですね。

 

それに加えて「実際の倍率は確実に下がる」ので、まずは学力の充実を図りたいですね。どのように下がるのかは来週記したいと思います。

 

 

 

さて「国語の問題は難しくなっている」というテーマも最終回です。今回は解説が残っている「作文」と「説明・論説文」について書きたいと思います。

 

④.作文

 

埼玉県の国語の作文は195~225字の中で「与えられたテーマについて論ずる」ものです。この形式は数十年間変わっていません。

今から40年以上前、私が受験した時には「好きな科目について書きなさい」という課題だったかと思います。当塾にある最も古い1991年の過去問題集も「手紙について書きなさい」というテーマでした。今となっては牧歌的な雰囲気さえ漂う問題と言えます。

 

では直近の6年間ではどうでしょうか? 2012年以降を見てみると・・・

 

2012年 「日常生活での言葉の使い方」について、4つの意見から自分の考えに最も近いものを選んで、その理由を含めて論じる。

2013年 3つの「ボランティア活動」の中から自分が参加するものを選び、その理由を書く。

2014年 高校生の「働く理由」という調査結果を見て、自分の「働くこと」についての意見を書く。

2015年 3つの意見の中から「百年後の日本に残したいもの」を選び、その理由を含めて論じる。

2016年 「家庭ごみの容積の割合」というグラフを見て「家庭ごみの減量」について考えや意見をまとめる。

2017年 2つの帯グラフを見て「メディアの利用」について自分の意見をまとめる。

 

となります。どうでしょう? 20世紀の作文問題のテーマが「小学生向け」と思えるほどの「テーマの高度化」が図られています。

なぜ、そのような印象を与えるのでしょう? それは「受験生個人の意見を明確にすることが求められている」「科目縦断型のテーマになっている」という二点に集約されると思います。

 

まず「受験生個人の意見を明確にすることが求められている」のはなぜかについて考えてみましょう。20世紀に見られたような「好きな科目」「手紙」のようなテーマでは(一定のルールはあるものの)自分の書きたいことを適当に書くことになります。話が散漫になりやすいという欠点があるわけです。

しかし「自分の意見を理由とともに書く」となると「起承転結」に添って書く必要があります。そしてこのような問題が出されるということは「公立高校(特に進学校)ではこのような論理展開に強い学生を望んでいる」ということにつながっているのです。

 

次に「科目順弾型のテーマになっている」という点ですが、2014・16・17年のテーマはもはや国語の領域を超えて、社会科の知識も必要とされている作文課題だと思います。つまり「国語の勉強だけしていれば国語では点が取れる」ということではないということです。普段からテレビのニュースを見たり、新聞を読んだりすることで、社会情勢を把握し(といっても中学生レベルで十分です)、考えることが必要であるということです。

 

以上のような点で、作文はこの数年で大きく変わりましたし、他の科目への影響も大きいと私は考えています。

 

 

⑤.説明・論説文

 

さて最後の説明・論説文です。

こちらも過去問から見てみると、1991年の問題は「チューリップ」についての説明文でした。また、私が21年前に学習塾講師になってからは「クジラ」「ツバメ」など動物や植物をテーマにした説明文からの出題がほとんどでした。

 

では直近の6年間のテーマを見てみましょう。

 

3012年 脳とコンピュータの差異

2013年 「ゼロテクノロジー」というコンセプト

2014年 言葉について

2015年 「歴史的文化的に音楽を聴く」 2016年 「ヒトはなぜヒトになったか」

2017年 絵画・文学作品の「価値」  *以上のテーマは当方にて分かりやすくつけたもので、実際のタイトルとは異なります

 

こうしてみると単純な「説明文」は全く姿を消しています。それよりも抽象的なテーマについての「論説文」が主流になっています。

論説文は「筆者が自分の主張を具体例を挙げて論ずる」文章ですから、「あるものについて説明する」だけの説明文よりも難度が高く、説明も複雑になります。

それだけでなく2013年「コンセプト(概念)」、2014年「言葉」、2017年「価値」など、実際に把握するのが難しいテーマになっています。単なる国語ではなく「人文学」の入り口としての理解を求めているかのようです。

いわゆる「ゆとり教育」から脱却した指導要領が中学生に採用されたのは、2015年に受験した現高校3年生の学年からですが、高校入試の国語は一歩早く「ゆとり教育」の先を行っていたようです。

また、上記の作文でも論じたように説明・論説文も「科目縦断的な内容」になっています。

2013年の問題では生命論・環境論までが語られており、2017年の問題では文化史の知識があると一層解きやすくなっています。

 

このような点から説明・論説文の問題はこの数年での最大の高難度化を示した分野です。また「読んで理解する」という点から、特に理科・社会などの他の科目への影響は大きいと考えられます。

 

さあ、このように高難度化している国語の入試問題ですが、どのように考えればいいのでしょうか? それぞれの分野で考えると対策ははっきりしやすいと思います。

まずは古典ですが「音読」と「現代語訳」を丁寧にして、慣れることがスタートになります。漢文も手が抜けません。レ点、一・二点などを理解するのも重要です。

次に文法ですが、これが国語の学習のある意味「鍵」となります。21世紀になって様々な学校で採用されている「論理トレーニング」という学習法がありますが、どの文節がどの文節の説明をしているかを重視しています。「主語と述語」「修飾語と被修飾語」「副詞の呼応」など「つながる言葉」に注意して学習を進めたいものです。

三番目は作文ですが「起承転結」が明確な文章を心がけることです。また上記の通り、ニュースや新聞記事の知識等も必要です。

最後に説明・論説文ですが、普段から抽象的な文章に慣れておくといいでしょう。「言葉」「心と体」「科学と自然」「機械と人間」「比較文化(他国との差異)」などが問題のテーマとしてよく見られます。

 

こう考えてみると国語は「漢字をよく知っている」「ことわざや故事成語に強い」だけでは得点できない科目だとわかります(もちろん漢字・ことわざ・故事成語に強いことは、得点を上げるのに有利ですが)。

それよりも「文章が読める」「文章が書ける」「その言葉がどの言葉の説明をしているのかが分かる」方が、最近の入試では重要視されており、それは学生時代だけでなく、社会人になってからも求められる能力であるといえましょう。

 

以上でこのテーマについての説明は終わりです。次回は入試前日ですので、それに合わせたお話をしたいと思います。もちろん「実際の倍率は下がる」についてです。

 

 

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