3年目の学校選択問題を追ってみる ⑦ 他都府県の動向

先月から始めたこのテーマも七回目とかなり長くなりました。

ただ、もう少しお知らせしたいことがありますので、気長にお付き合い戴ければ幸いです。

 

 

ところで、入試問題に難度の差をつけることを取り入れたのは埼玉県が初めてではありません。

そこで、今回は埼玉県以前にその仕組みを取り入れた都府県についてその状況を見てみたいと思います。

 

1.東京都 2001年から、英数国の3教科で開始。15校が参加してそれぞれ独自の問題を作成する。

その後2013~2017年は「進学指導重点校」「進学重視型単位制高校」「併設型中高一貫教育校」の3グループに分けて問題を作成。

2018年から、2012年以前に実施していた自校問題の仕組みに戻す。

 

2.岡山県 2004年より、英数国の3教科で実施。ただし、一般の入試問題と異なる出題を行っているのは、県立岡山朝日高校のみ。

 

3.神奈川県 2005~2012年で実施。英数国の3教科で実施。最大で11校が参加していた。

*現在は入試問題に難度の差をつけていない。

 

4.大阪府 2016年より、英数国の3教科で開始。 問題をABCの3種類用意し、各高校が各教科によって3種類の中から選択する仕組み。

因みに、基本的な問題の割合が最も高いのはA問題、応用問題が多く高難度なのはCとされている。

また、高校サイドは各教科の難度をそろえる必要がない。例えば英語はC問題、数学A問題、国語B問題という選択も可能である。

 

 

こうしてみると以下のような考察ができます。

 

・ 対象となる科目は英数国の3教科である。

 

・ 現在実施している都府県では、東京都と岡山県が自校問題であり、大阪府は3段階の難度から各高校選択する仕組みになっている。

 

・ 埼玉県の学校選択問題に参加しているのが21校であるのに対し、受験生人口が多いはずの東京都・神奈川県の自校問題作成高校が少ないのは、東京都も神奈川県も「難関大学の受験を目指すのならば私立高校」という認識が埼玉県よりも高いからと考えられる。

 

・ 東京都は石原慎太郎氏が都知事の時代に「都立高校の復権」として、学区制の廃止等を行ってきたが、自校問題もその一環の中で行われたと言ってよい。

 

・ 1校のみの岡山県を除けば、東京都・大阪府・埼玉県、さらにかつて実施していた神奈川県は人口の多い都市部であり、また私立高校が大学受験で着実に成果を上げている所である。特に埼玉県は過去10年ほどで、トップの公立高校と互角に渡り合う私立高校が出てきている。

 

 

さて、埼玉県、また他都府県の状況はお分かりいただけたでしょうか。

こうなると「なぜ埼玉県が学校選択問題を開始したのか?」「今後、学校選択問題はどうなるのか?」等が気になります。

次回以降はそういった内容についても考察したいと思います。

 

それでは今日はこの辺で。

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