不味い飯屋とシュークリーム ③

ゴールデンウイーク明けに、塾の卒業者で現在高校3年生の男子が訪ねてきてくれました。

 

「先生、これ今の生徒さん達に分けて下さい」と言って差し出したのが、レジ袋に一杯入ったシュークリームでした。

 

彼は中学校では柔道部に所属し、県大会でも上位に入った「猛者」。

 

そんな彼が高校受験の時、私自身は大学進学が中心になっている普通科の高校へも十分入れると思っていたのですが、

 

選んだのは某商業高校。

 

いったいなぜその高校を選択したのか?

 

当時、彼と話した内容は以下の通りでした。

 

・ 自分は将来、接骨院を開きたい、そのためには大学よりもむしろ専門学校の方が実践的だ。

 

・ 当然、高校でも柔道を続けたいが、県北の普通科高校では力を伸ばすことができるところがほぼ皆無だった。

 

・ そうすると(現在通ってる)某商業高校が北部の公立高校の中では一番強いので、最適解ではないかと思う。

 

このような観点で、彼は高校の選択をしたわけですが、この時点でその某商業高校の倍率は1.00を割る状態。

 

ですが、彼に迷いはありませんでした。

 

その某商業高校に入学し、1年時にいきなり関東大会に出場。

 

ただ、その後はけがの影響等もあり、柔道で結果を出すことはできませんでした。

 

しかし、部活と勉強の両立を図った彼は定期テスト等で学年でも一桁の順位を維持し続けるなど、

単なる「のんべんだらりとした高校生活」とは無縁でした。

 

 

さて、再会の時に「そういえば専門学校は決まったかい?」と聞いてみると

 

何と何と「今は関心が少し変わって大学で経済学を勉強したいと思っています」とのこと。

 

高校受験時とはかなり方向性が変わりましたが、それについても当然のことですが、いろいろと思考したはずです。

 

そして志願先の大学、といっても彼の場合、高校からの推薦での入試になります。

 

その志願先を聞いてみると、今やこの北部地区の公立高校からは

なかなか入るのに難しい大学名がその口から出てきました。

 

 

このように考えてみると、彼の高校入試での志望校選びは(ここまでは)正解だったと言えます。

 

それもこれも彼が

「高校入試に関する自分のスタンスをしっかり決めていたから」

に他ありません。

 

ですから

「行ける高校」ではなく「行きたい高校」

に自分の気持ちを持っていくことが、重要です。

 

たとえそれが「不味い飯屋のような高校」と外部の人から見えても、

自分の可能性を伸ばし、将来に寄与する高校であると納得できれば、

「何となく来た」ではなく「目的をもってこの高校に来た」という心情で過ごせることは大変重要だと思います。

 

そう言う意味では、そのことを文字通り「実践」してくれたかれに、塾講師として最大限の感謝と今後へのエールを送りたいと思います。

 

「ありがとう、T君。そして高校卒業後も頑張れ」

 

 

 

追記  シュークリームありがとう! 君の後輩たちも一人残らず喜んでいました。

 

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