こんにちは。
国語の学習についての考察も3回目です。
前回の英語に続き、今回はその他の科目への影響を考えてみたいと思います。
通常授業だけでなく、春期講習会でも見られたのですが、
「問題文の求める答えと違った意図の回答をする」生徒さんがいらっしゃいます。
はじめは「問題文をよく読んでいないからじゃないか」と思っていたのですが、
その問題について解説をすると
「そういうこと」「やっとわかった」という生徒さんが多いことに気付きました。
つまり「問題文の求めるものが理解できていなかった」ということです。
これはすなわち「問題文の意味が解らなかった=読解力が高くない」ことを示しています。
具体例を上げてみます。
まずは数学の問題から
こうした「円すい」では底面の半径と側面の母線が分かっていて、そこから「この円すいの体積を求めなさい」という問題が多いのですが、
この問題は、その「逆の論理展開が出来るか」を問うています。
つまり「『底面の円周=側面(扇形)の孤』という基本が分かっていれば、いつもの体積の問題の逆で大丈夫だよね」という問題です。
この「逆の論理展開」は国語でのトレーニングがなされてきたことです。
作文では「賛成意見だけでなく、反対意見やそれに対する反論を書くことで、筆者の主張の説得力が格段に増す」ことを学んだからです。
つまりここで「発想の転換が出来ない=国語の論理展開が苦手」という事になってしまいます。
では別の科目の例です。
社会の歴史からの問題です。
ちょっと分かりにくいですが、聖徳太子による十七条の憲法の条文が資料1として記載されています。
例の「一に曰く和をもって貴しとせよ 三に曰く詔を承りては必ずつつしめ」という文ですね。
そして問題は「次の( )に適する言葉を資料1を参考にしながら補い、これを完成しなさい」というものです。
問題自体は
「聖徳太子は仏教や儒教の考え方を取り入れた十七条の憲法を定め、( )ことを、役人の心構えとして示した」
というものでした。
ですから正答としては「他者と争わずに天皇の命令を聞いて実行すること」等になるはずです。
ところがこの問題に対し「天皇中心の中央集権国家を築く」と答えた人がいました。
確かにこの問題を解く前の解説ではそのような話をしていましたし、決して全面的に不正解という事でもないのですが、
問題文の求めている回答からはポイントが大きくズレているのも事実です。
そこでこの生徒さんに「この問題が求めている答えは・・・」と話をすると
「そういう事だったんだ」という返事。
この場合は「問題文の意図が読み取れていなかった」という事になります。
このように見てみると
国語が他も科目の理解にも大きな影響を与えていることがご理解いただけると思います。
ではそのような国語力をどのように身に着けるかについては次回以降に記したいと思います。
それでは。