3年目の学校選択問題を追ってみる ⑤ 学校選択問題の分析(数学編)

5月1日。令和になって初めてのブログ更新となります。

とは言っても当塾の場合、このゴールデンウイークのお休みは29・30・6日だけで、あとは「通常運転」となります

(塾の休みは月曜日と月末の29~31日と決まっているためです)。そのため、本日も授業がありました。

中学校ではこの10日間のための宿題を出しているようですが、それでも教科書を先に進めての学習は出せませんし、今年は例年以上に年度末に授業内容が立て込みそうですね。

 

 

さて、テーマの内容に入る前に、4月25日に2019年度の埼玉県の公立高校入試の平均点等の結果が発表になりました。

各科目の平均点は以下の通りです。尚(   )内は対前年比です。

 

国語58.3点(+5.3点) 社会60.3点(+4.4点) 数学42.3点(-1.7点) 理科44.5点(-7.2点) 英語47.7点(-8.2点)

<学校選択問題> 数学53.5点(+9.8点) 英語64.3点(5.4点)

 

こうしてみると、3月18日のブログでも記載しましたが、国語は易化しており平均点が上昇しています。社会も同様のようです。数学はほぼ横ばいでした。

逆に理科と英語の大幅ダウンが目につきます。5科の合計では昨年比7.4点のマイナスでした。全体的には理科・英語を中心に昨年よりも難度は上がったということでしょう。

これに対して、学校選択問題は数学で昨年比9.8点、英語も5.4点と平均点がアップしています。この2科目だけで昨年比15.2点と大幅なアップでした。

特に過去2年では平均点がいずれも40点代だった数学の大幅な上昇が目を引きます。出題者サイドが「過去2年間の平均点が想定以上に低かったので、問題の難度を下げた」のか、受験生側が「学校選択問題の数学には対応できないから、採用している高校の受験を避けよう」としたのか、はたまた他の要因によるものか今後の検証課題とさせて頂きます。

 

 

では「3年目の学校選択問題を追ってみる」の5回目です。

今回は学校選択問題の数学の問題を分析していきます。

2017~2019年の3回の学校選択問題では、2017年は大問1~4,2018・2019年は大問1~5という出題形式でした。

 

ここからは各年度ごとの出題内容をみていきます。

 

<2017年度>平均点43.2点

大問1 (1)文字式の計算 (2)因数分解 (3)連立方程式 (4)二次関数 (5)確率* (6)相似* (7)①②二次方程式* (8)①数の組み合わせ* ②説明* (小計50点)

大問2 (1)作図* (2)資料の整理* (3)面積* (4)三平方の定理* (小計20点)

大問3 (1)合同の照明 (2)辺の長さ (3)立体の体積 (小計17点)

大問4 (1)二次関数* (2)①関数の座標* ②立体の体積(要説明) (小計18点)

 

<2018年度>平均点43.7点

大問1 (1)文字式の計算 (2)無理数の計算 (3)二次方程式 (4)二次関数 (5)資料の整理* (6)整数の性質 (7)確率* (8)体積の算出* (9)①②連立方程式* (小計45点)

大問2 (1)作図* (2)辺の長さ (小計11点)

大問3 (1)(2)数の規則性* (小計10点)

大問4 (1)一次関数* (2)二次関数* (3)面積算出* (小計16点)

大問5 (1)相似の証明 (2)①②相似による計算 (小計18点)

 

<2019年度>平均点53.5点

大問1 (1)文字式の計算 (2)無理数の計算 (3)二次方程式 (4)文字式の応用 (5)角度の算出* (6)二次関数* (7)標本調査* (8)①②連立方程式の応用* (小計44点)

大問2 (1)作図 (2)確率 (小計11点)

大問3 (1)(2)関数の応用* (小計10点)

大問4 (1)三平方の定理* (2)①証明問題* ②面積の算出* (小計17点)

大問5 (1)図形の合同証明問題 (2)①辺の長さの算出 ②体積の算出 (18点)

 

こうしてみると一般入試問題と同様に大問1は「比較的」基本的な問題が出ています。とはいっても3年連続で出題されている「(1)文字式の計算」は分数形式になっているので、一般入試問題と比較すると難度はかなり上がっていると言っていいでしょう。

その他の因数分解・連立方程式・二次方程式等の計算問題も一般入試問題よりは高レベルと言える問題ばかりです。

また確率・資料の整理等の問題や、大問2で3年連続の出題となっている図形の作図問題も、一般入試問題より難度は上がっています。このあたりまでで「いかに失点を少なくするか」が数学の学校選択問題でダメージを減らすカギになりそうです。

更に二次関数・三平方の定理も毎年出題されていますが、これらの内容は高校の数学Ⅰに直結する内容ですので、「少々レベルが高くても、ある程度は対応できるようにしてほしい」という学校選択問題を企画・実行している製作者サイドの「希望」を感じさせるものではないかと思います。

 

ところでこの「学校選択問題」は一般の入試問題との共通する出題も多くなっています。上記の問題につけた「*」のマークが共通の問題です。

これまでの3年間では以下のような配点になっています。

 

2017年度 50点(49点)  2018年度 55点(57点)  2019年度 51点(56点)   (  )内は一般入試問題の配点

 

3年間の平均では52点が一般入試問題との共通問題になっています。このように学校選択問題といっても約50%は全ての受験生が向き合っている問題だということです。

確かに全体的に見れば「学校選択問題は一般入試問題よりも難しい」のですが、それは共通していない約50%と捉えて、まずはしっかり基本的な問題に対応できる数学力を育成することが重要です。

その上で学校選択問題のレベルの応用問題にもチャレンジしていくことで、学校入試問題も必要以上の心配をしないで済む学力を身に付けたいですね。

 

では、本日はこの辺で失礼します。次回も引き続き「3年目の学校選択問題を追ってみる」ですが、この3年間の数学の一般入試問題の分析を行う予定です。

 

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