こんにちは。
前回の「『進学する高校をどこにするか?』悩んでいる人たちへ」のブログを読んだ生徒さんから、次のような質問がありました。
「先生『高校卒業後の自分の進路を決めておく』のが志望校選びに大切なのは分かるけど・・・」
「どうしてもその答えが出ないで、志望校選びに迷ったらどうするの?」
「書いてあったような年明けの入試直前まで志望校で迷う人になっちゃうのかなあ?」
確かにちょっと考えてしまう問題ですね。
前回のブログに書いた「直前まで志望校が決まらない人」は「高校に行く理由を考えず、情報を集めない」というケースが多かったのですが・・・。
この生徒さんが言うように「一生懸命実行しても志望校が決まらない」というパターンも考えられます。これは辛いですね。
そこで今回はどうしても志望校が決まらない、という受験生に対する提案をさせていただこうと思います。
まず一言でいうと
「卒業後の進路を考える時間を与えてくれる高校を進学先に考えよう!」
という事になります。
もちろん、この時期から考えて早めに志望校に対する結論が出せればいいのですが・・・。
しかし、一生懸命考えたけれども、現時点で自分の志向・適性・関心等に確信が持てないという人は出てきてもおかしくありません。
そこで、そのような受験生は
「自分の進路について猶予のための時間を与えてくれる高校」
を進学先として考えると、良いのではないでしょうか?
また、受験生本人も精神的な落ち着きを得られると思います。「志望校が決まらない!」という焦りがなくなるのが大きいですね。
とは言え、この方法も迷える受験生の万能薬ではありません。
ここからは、その際のポイント3点を以下に記します。
①.各高校の進路指導状況を確認する。
②.比較的自由な校風である方が望ましい。
③.学科は重要なポイントなので慎重に選ぶことが必要である。
まず①ですが、先週のブログ同様、候補となる高校の情報収集から始まります。
その際、各高校では「進路指導状況」を受験生や保護者の方々に提示しています。
例えば現在、ほとんどの進学校では高校2年生に進級すると「文系」「理系」のクラス分けが行われます。希望を取るのはは高1の秋までですが。
ただ3年生に進級する際「どうしても合わない」「自分は新しい方向性を見つけた」という生徒さんが一定以上出るので、「理系から文系」への転科を容認する高校は多いです。ただしカリキュラムの都合上「文系から理系へ」という転科はほとんどが認めていません。
まあこれを認めている高校は「受験生の進路指導に融通を効かせてくれる」といっていいかもしれません。
次に②についてです。
自由な校風の高校は部活動や生徒会活動が盛んなことが多く、勉強以外の経験も豊富に積むことが出来ます。またそのような環境で同年代の友人と話し合い、自分の志向や将来像に影響を受けるケースも多々あります。
学校生活自体が「自分の将来について考える」ための最大の場所であり、時間となりうるわけです。
これがガチガチの進学校ですと、勉強以外の時間は少なくなるので、自分自身を振り返る「内省」の時間は減ると言っていいですね。
これは「自分の進路を考えるのに猶予を与えてくれる高校」を求めている人から見ると「自分の希望に合わない」という事になります。
そう考えると、ここでも情報収集、特にその高校の在校生、卒業生、関係者から得られる情報は「生の声」として重視してもよいでしょう。
最後に③です。
大まかに言って進学する学科によって、高校卒業後の進路はおおよそ次のようなパターンが見られます。
・ 普通科 4年制大学・専門学校等上級学校への進学が基本。基礎学力の高い高校の場合ほとんどが4年制大学。あまり基礎学力が高くない高校は専門学校のウエイトが高くなり、就職する人も少なくない。
このため入学時には「大学進学が目標」という生徒さんが少なくない。ただ「職業高校に抵抗があるから普通科」という生徒さんも存在する。
こう考えると、はっきりではなくとも「卒業後は大学進学」と考える人の方が、そのためのヒントを与えてくれると思われる。
・ 商業科・工業科・農業科 就職する人の割合が最も高い。地元の大手企業を就職先とする人は多い。進学は専門学校中心だが、歴史のある高校の場合、中堅以上の大学からの指定校推薦枠で大学に進学する人も例年見られる。
ただしその場合、農業科は農業大学(農業科)、工業科は工業大学(工業関連学科)、商業科は商業大学(商学部・経済学部・経営学部)等、高校の学科によって固定されているケースが多い。
入学時には「卒業後はOO!」と決めている人は少数派だが、「就職するんだろうな」と漠然と考えている生徒さんは多いと考えられる。
学科への興味と自分の志向があっている人にはベストの組み合わせだが、そうでない場合「ここに来るんじゃなかった」という事になりやすい。
「高校卒業後を考える猶予期間が持てる高校」という、今回の趣旨からは外れる場合もあるかもしれない。
・ 総合科 高校1年時は中学校同様主要5教科の学習中心で、2年生進級時から自分の関心のあるコースに進むようになっている。その結果、自分が選択したコースで学習したことを活かすための就職が多いが、上級学校への進学のための学習計画を組んでいるコースもあり、大学や専門学校への進学も少なくない。
普通科や職業高校では自分の適性を見いだせなかった生徒さん、あるいは設定コースに魅力を感じた生徒さんが多い。とはいえ「進学か就職か、それが問題だ」という入学時の心境は職業高校へ進学した人に似ている、と言える。
専門学科と似たような点が多いが、高校1年は猶予期間として使える。ただ2年時からの設定コースに興味がなければ選択は勧められない。
こうして考えてみると高校入学時には
「卒業したら進学」「高校卒業後は就職」という基本方針は大雑把でも考えておいた方が良いことが分かります。
であれば、受験生と保護者の方が十二分に話をされて情報の交換をするのが、やはりベストと言えます。
また、そこで決めた基本方針ですが、高校生活を送るうちに変わることが多々あります。
今春、高校を卒業した生徒さん8名は、高校受験時に「高卒後は大学進学4名・就職4名」という状況でしたが、実際には「大学進学7名・就職1名」という結果になりました。
ただそれも「高校入試の段階で自分の将来について考えた時間が、活かされた結果」です。
中学3年生(もちろんその下の学年の人も)というこの時期に「自分について考える」ことはやはり重要です。
迷っている人が、あとあとその時間を最大限に有効に活かせることを願っています。